第406章:太陽を隠す(5)

「今日は黒川浩二の結婚式だ!」誰かが答え、一瞬の間を置いて思わず呪いの言葉を吐いた。「くそっ、村上家の人々を招待できるなんて、マジでやべえな!」

「そんなの大したことないよ。村上幸之助がどれだけ出世しても、上には兄貴がいるんだから」

「それがね、知らないでしょう!また昇進するって噂だよ。今度は村上景史より上の地位になるらしい」

「それだけじゃないよ。彼の奥さんは村上家のビジネスを取り仕切ってるだけじゃなくて、最高のハッカーでもあるんだ。悪名高いダークウェブとハッカー帝国って知ってる?彼女が一人で破壊したんだよ!」

「ハッカー」「ダークウェブ」という言葉を聞いた黒川詩織の目が一瞬で輝き、杏色の瞳には葉月葵への憧れが満ちていた。

これが彼女の憧れのアイドルだ!!!

村上幸之助は率先して黒川浩二と握手を交わした。「おめでとうございます、黒川社長。末永くお幸せに」

黒川浩二:「ありがとうございます」

葉月葵は首を傾げ、意味深な口調で言った。「私のビジネスをお世話になり、ありがとうございます」

「こちらこそ、葉月社長の技術支援に感謝しています」

葉月葵は軽く笑って、「どういたしまして。あなたがイケメンだったからですよ。ブサイクだったら10億くれても断ってたわ」

「葵」村上幸之助は横を向き、黒い瞳には無奈と愛情が溢れていた。

葉月葵は無邪気に笑って、「冗談よ。私の目には誰も愛しい人より格好良く見えないわ!」

村上幸之助の眉間の皺がようやく緩み、穏やかな声で言った。「今日は黒川社長の大切な日だ。余計なことを言うな。さもないと一ヶ月間お酒を禁止するぞ」

「わかったわよ、言わないわ……」葉月葵は結局、夫の言うことを聞いた。

だって、彼女の夫は世界一のイケメンなんだから!!

***

結婚式が正式に始まり、黒川浩二は挨拶や証人など、長くて退屈な過程を全て省略し、直接結婚式の儀式に入った。

宴会場の大扉が開かれ、会場の照明が全て消え、入口に一筋の光が坂本加奈を照らしていた。

彼女は白いマーメイドラインのウェディングドレスを着て、レッドカーペットの端に立っていた。ドレスにはスパンコールと青い花のデザインが施され、二本の肩紐が美しい肩に蝶結びで結ばれ、まるで緑の妖精のような姿だった。