第405章:太陽を独り占め(4)

坂本加奈がまだ反応する間もなく、男性の唇が強く押し付けられてきた。

「……」

この男は絶対わざとだ!!!

運転手が来た時には、黒川浩二は既に彼女から離れていた。新婦の瞳は潤んでいて、通った鼻筋の下の唇は艶やかで、ふっくらと潤い、口紅は自然で上品に塗り直されていた。

***

黒川家の習わしでは、坂本加奈はまず黒川邸の婚房に行き、黒川家の二人の長老にお茶を出して頭を下げなければならなかった。

黒川浩二は頭を下げる儀式を変更し、お茶を出すだけにした。

二人の長老は心中不満だったが、今や黒川家は黒川浩二が取り仕切っており、黒川麻美は年寄りたちなど相手にしないので、彼の言うとおりにするしかなかった。

坂本加奈はお茶を出して、太くて金の腕輪を二つもらった。かなりの値段がつきそうだと感じた。