第405章:太陽を独り占め(4)

坂本加奈がまだ反応する間もなく、男性の唇が強く押し付けられてきた。

「……」

この男は絶対わざとだ!!!

運転手が来た時には、黒川浩二は既に彼女から離れていた。新婦の瞳は潤んでいて、通った鼻筋の下の唇は艶やかで、ふっくらと潤い、口紅は自然で上品に塗り直されていた。

***

黒川家の習わしでは、坂本加奈はまず黒川邸の婚房に行き、黒川家の二人の長老にお茶を出して頭を下げなければならなかった。

黒川浩二は頭を下げる儀式を変更し、お茶を出すだけにした。

二人の長老は心中不満だったが、今や黒川家は黒川浩二が取り仕切っており、黒川麻美は年寄りたちなど相手にしないので、彼の言うとおりにするしかなかった。

坂本加奈はお茶を出して、太くて金の腕輪を二つもらった。かなりの値段がつきそうだと感じた。

黒川邸にはあまり長居せず、桜花ホテルへと向かった。来賓がもうすぐ到着するため、黒川浩二は貴賓を迎える必要があった。

坂本加奈は控室でメイクを変える中、会場に連れてこられた中谷陸人が彼女の胸に飛び込んできて、蜜を塗ったような甘い声で話しかけてきた。

「ママ、今日とても綺麗だよ。まるで仙女みたい!」

坂本加奈は彼の褒め言葉に心が躍った。「あなたも今日とてもかっこいいわ」

中谷陸人は今日のフラワーボーイとして採用され、小さなスーツを着ていた。彼の顔立ちは中谷仁に少し似ており、とてもかっこよく見えた。

深木雫と佐藤薫はオーダーメイドのシャンパンゴールドのブライズメイドドレスに着替えるだけで、メイクを変える必要はなく、横で休むことができた。

一方、黒川浩二はスーツに着替えた後、ホテルの入り口で来賓を迎えに行った。

黒川麻美は今日、Vネックの白いドレスを着て、パールのアクセサリーを身につけ、髪を上げていた。黒川浩二を見たときにようやくほっとした様子だった。

「やっと来てくれたわね。私、疲れ果てそうだったわ」

黒川家の親戚の接待だけでも大変なのに、ビジネス関係の見知らぬ人々も大勢いて、幸い今日は会社の秘書室のスタッフも手伝いに来ていて、横で助言してくれた。そうでなければ、恥をかくところだった。

黒川浩二は薄い唇を開いて言った。「これだけ長年叔母と呼んできた甲斐があるな」

黒川麻美は彼を睨みつけた。「ありがとうございますわ」