青龍寺。
まだ正月が過ぎていないため、寒さが厳しく、お参りに来る参拝客は少なかった。
西村雄一郎は夜明け前から山に登り、寺院の前の石畳に跪いて、坂本加奈のために真摯に祈りを捧げていた。
皮肉なことに、かつての彼は神仏を敬わず、生死を恐れない傲慢な男だったが、今では仏門の聖地に跪いて、誠心誠意祈っている。
愛する人の平安と幸せを仏様に祈願している。
以前から西村雄一郎に付き従っていた二人の手下は、彼が戻ってきたことを知り、また彼の周りをうろついていた。今は脇で足がしびれるほど蹲っており、でこぼこの石畳に跪いている西村雄一郎はなおさらだった。
「海野様、もう半日近く跪いていますよ。これ以上続けたら、足が駄目になってしまいます」
西村雄一郎は軽く閉じていた瞳を開き、冷たく彼らを一瞥して、薄い唇から冷たい言葉を漏らした。「消えろ」