紙の上で男が寛いで横たわっていて、シンプルな線で彼の整った顔立ちと逞しい体つきが描かれ、一本一本の筋肉の線まではっきりと見えた。
肉欲的な要素は一切なく、むしろ男性の力強い美しさが表現され、彼女の筆致からは深い愛情が感じられた。
黒川浩二は思わず彼女を褒めた。「上手に描けているね」
初めて自分が絵の中に登場し、しかもこのような形で、不思議な感覚だった。
坂本加奈は微笑んで言った。「浩二は見た目も体型もいいから、どう描いても素敵よ」
黒川浩二は彼女の眉間にキスをして、「上手に描けたのは君のおかげだよ。君の目に映る僕があまりにも良すぎるから、描かれた絵も素晴らしくなるんだ」
「あなたはもともと素敵な人よ」坂本加奈は子供っぽく断言した。「自分のことを悪く言わないで。私の好きな人は最高なんだから」