空港には、絶え間なく人々が行き交い、見送りと出迎えが続いていた。
佐藤薫は空港の出口で焦りながら待ち、あちこち見回していると、ついに懐かしく恋しかった姿を人混みの中に見つけ、嬉しさのあまり駆け出した……
「春樹!」
彼女は一気に角田春樹の胸に飛び込んだ。
角田春樹は一瞬戸惑ったが、すぐに我に返って彼女の頭を撫でた。「来なくていいって言ったのに、ホテルで待っていればよかったのに」
「そんなのダメよ!」佐藤薫は彼の腕に甘えるように抱きついて言った。「何年も帰国してなかったでしょう。墨都は今すごく変わってるのよ。私が迎えに来なきゃ」
角田春樹は笑みを浮かべた。「じゃあ、彼女に迷惑かけちゃったね」
「全然迷惑じゃないわ」佐藤薫は彼の荷物を持ちながら言った。「私も暇だったし」