佐藤薫が目を覚ましたのは翌朝のことでした。熱は下がり、体調もずっと良くなっていましたが、喉がまだ少し痛かったです。
起き上がった時に何かに触れ、振り向くと枕元にモバイルバッテリーと携帯電話が置いてありました。
きっと加奈が誰かに持ってきてもらったのでしょう。
ちょうどその時、携帯電話が鳴り、坂本加奈からの電話でした。
佐藤薫は軽く咳をし、喉を潤してから電話に出ました。
電話の向こうから坂本加奈の優しく心配そうな声が聞こえてきました。「蘭、大丈夫?」
「もう大丈夫よ。助けを送ってくれてありがとう」佐藤薫は明るく答えました。
「よかった。まだ具合が悪かったら、今日帰って病院で看病しようと思ってたの」
「本当に大丈夫だから、絶対に帰ってこないで」佐藤薫は急いで答え、真剣な口調で言いました。「新婚旅行を楽しんでね。私のことは心配しないで!私は丈夫だから、熱なんてすぐに治るわ」