第440章:気取り

角田春樹の友達かもしれない。佐藤薫は泣きそうな衝動を必死に抑えて、「大丈夫、ただの熱だから」と言った。

「熱なら解熱剤を飲めば大丈夫でしょう。大したことないから、そんなに大げさにしないで!こっちは忙しいんだから!」

佐藤薫が何か言う前に、向こうは電話を切ってしまった。

ツーツーという話し中の音を聞きながら、佐藤薫は目に溜まっていた涙をもう抑えきれなくなった。

手で拭おうとしても、涙は意志に反して流れ続けた。

この瞬間、恐怖、悔しさ、無力感、すべての感情が心に押し寄せ、それらはすべて涙となって発散しようとした。

看護師が会計の催促に来たが、彼女がこんなに泣いているのを見て、心が痛み、ティッシュを差し出した。

佐藤薫は崩壊しそうな感情を必死に抑えながら、会計に向かおうとしたが、不幸は重なるもので、携帯の電池が切れて電源が落ちてしまった。

数秒間頭が真っ白になり、親切な看護師から携帯を借りて、覚えていた坂本加奈の番号だけを頼りにした。

電話はすぐに繋がり、向こうから坂本加奈の優しい声が聞こえてきた。「蘭、こんな遅くに電話してどうしたの?」

何か緊急のことがなければ、普段は電話せず、LINEでやり取りするのが普通だった。

佐藤薫は彼女を心配させたくなかったので、泣き声を必死に抑えながら言った。「風邪引いて病院にいるんだけど、携帯の電池が切れちゃって、今お金がなくて会計できないの。誰か来て支払いを手伝ってくれない?」

「病気なの?」電話の向こうの坂本加奈はすぐに心配そうになった。「どこの病院?すぐに誰かを向かわせるわ」

佐藤薫は病院の名前を告げ、ただの軽い風邪で大丈夫だから心配しないでと何度も強調した。

電話を切ると、佐藤薫は看護師に携帯を返して、ありがとうと言った。

支払いができていないため、看護師は彼女を病室に連れて行って点滴することができず、椅子に座って待つように言った。

佐藤薫は冷たく硬い椅子に座り、熱を出して激しく泣いたせいで、今は完全に疲れ果てていた。まるで胸の中のもやもやが抜けたかのように、椅子に寄りかかったまま頭がぼんやりとして、すぐに眠りに落ちた。

……