第476話:佐藤薫、30秒あげる【月票加更1】

坂本真理子は以前坂本加奈が大好きだったスカイガーデンに彼女を連れて行った。

雰囲気が良く、料理も美味しく、多くのカップルがデートで必ず選ぶ場所だった。

佐藤薫は坂本真理子についてレストランに入り、思わず小声で尋ねた。「こんな高級なレストランで食事する必要があるの?」

普段の消費も結構高いけど、ここで食事するのはやはり心が痛む。

数回食事したら、バッグが一つ買えるほどだ。

坂本真理子は座って注文を済ませてから言った。「私がおごるから、安心して食べて。」

佐藤薫は彼が誤解していることに気づき、説明した。「そういう意味じゃなくて、私は…」

私たち二人がこんなカップルのデートスポットで食事するのは相応しくない!!

残りの言葉は喉に詰まって出てこなかった。

坂本真理子は彼女が何を言いたいのか分かっているようだったが、追及するつもりもなく、聞きたくもなかった。「ちょっとトイレに行ってくる。」

佐藤薫は彼の後ろ姿を横目で見て、彼と一緒にここで食事するのは勿体ないと感じた。

少し迷った後、彼女は携帯を取り出して林優香にメッセージを送り、それからウェイターを呼んだ。「後で向かいの方が私のことを聞いたら、トイレに行ったと言ってください。」

ウェイターは頷いて了承した。

佐藤薫はバッグを手に取り、こっそり逃げ出した。

このような若いカップルのデートスポットは、彼らカップルに任せておこう。

坂本真理子がトイレから出てきて、佐藤薫が見当たらないのでウェイターに尋ねた。

ウェイターは佐藤薫の言った通りに答え、坂本真理子も疑いを持たず、グラスを持って水を飲んだ。

約10分座っても佐藤薫が戻ってこないので、思わずLINEでメッセージを打とうとした。トイレに行ったのか、便器に落ちたのか?

文字を打ち終わって送信しようとした時、彼女の言葉が頭の中で響いた。

女の子を急かしてはいけない、もっと忍耐強くならないと。

メッセージボックスの文字を一文字ずつ消した。

まあいいか、彼女が時間をかけたいなら好きにさせよう。どうせ自分も急ぐことはないし。

さらに10分ほど経っても佐藤薫は戻ってこず、こちらではウェイターが料理を出してもいいか尋ねに来た。

坂本真理子が待つように言おうとした時、突然見覚えのある姿が近づいてきて、表情が凍りついた。

「どうしてここに?」