第478話：「佐藤薫、本当に君のことが好きだ。」

佐藤薫の頭の中が「ガーン」と鳴り、真っ白になった。

全身が凍りついたように固まり、十秒ほど経ってようやく我に返り、坂本真理子を突き飛ばした。杏色の瞳には驚きと信じられない思いが満ちあふれ、さらには戸惑いの色も浮かんでいた。

彼女は坂本真理子が本当に自分のことを好きだということを信じられなかった。

さらに、彼がこんなことをするなんて信じられなかった。

手を上げて自分の唇を激しく拭い、心は乱れに乱れ、どうしていいかわからなかった。

坂本真理子は彼女に突き飛ばされ、一歩後ずさりしたが、鋭い眼差しは依然として熱く彼女を見つめていた。

「僕は君が好きだ、佐藤薫……」

薄い唇が開き、話しながら自然と笑みを浮かべ、そしてもう一度繰り返した。

「佐藤薫、僕は本当に君が好きなんだ。」