佐藤薫は即座に首を振って否定した。「ありがとうございます、中谷社長。必ず頑張って働きます。ご期待に添えるように努めます」
「私に感謝する必要はない。君の実力だよ」中谷潤は話題を仕事に移し、彼女に仕事の指示を出した。
佐藤薫は仕事に戻り、自分の席に着くと大きな花束が目に入った。同僚たちの好奇の目も感じ、思わず眉間を押さえた。
一体誰がこんな野暮ったい、大きなバラの花束を送ってきたのだろう。ドラマの撮影でもしているのだろうか?
彼女が座ったばかりの時、携帯が振動し始めた。
坂本真理子からの電話だった。佐藤薫は画面を見た瞬間、驚いて携帯を落としそうになった。
どうして私をブロックしていないの?それどころか電話までしてくるなんて。
電話は鳴り続け、周りはみんな仕事中だったので、彼女は立ち上がって給湯室に向かい、そこで電話に出た。