第482話:「本気で感謝するなら、身を捧げてはどうだ」

帰り道で、二人とも黙っていた。窓の外の光と影が過ぎ去り、時折佐藤薫の清楚な顔立ちを照らしていた。

彼女は目を伏せ、何か深い思考に沈んでいるようで、車が止まってようやく我に返った。

「送ってくれてありがとう」佐藤薫はシートベルトを外して降りようとした。

坂本真理子も車から降りて彼女を呼んだ。

佐藤薫が振り返って彼を見ると、月明かりの下で彼女の凛とした瞳の輝きは月光よりも魅惑的だった。

「今日はとても綺麗だよ」坂本真理子はポケットに両手を入れ、整った顔立ちに笑みを浮かべながら、率直に彼女を褒めた。

佐藤薫は一瞬戸惑い、少し照れくさそうに「急にそんなこと言わなくても!」

「女の子が綺麗だと思ったら褒めてあげるべきだって、君が言ったじゃないか」坂本真理子は当然のように答えた。