第493章:美人を選び、天下を捨てる

佐藤薫は家で両親と二日間過ごし、家の中を案内したり、近くのスーパーマーケットや公園に連れて行ったりした。

時々暇になると、坂本真理子があの夜言った言葉が勝手に頭に浮かんでくる。

心の中に言い表せない奇妙な感覚があったが、すぐにその言葉を頭から追い出し、深く考えないようにした。

彼はただ自分のことを好きになれないという事実を受け入れられていないだけだ。時間が経てば、日が経てば、希望が見えなくなれば諦めるかもしれない。あるいは他の女性と出会うかもしれない……

この物欲が横行し、人々の心が浮ついているこの社会で、死ぬまで変わらない、一生涯一人だけを愛するというロマンチックな恋愛なんてあるはずがない。

諦めることは頑張り続けるよりずっと簡単だ。

……

二日後、佐藤薫は藤沢市に戻って仕事を続けるため、航空券を予約した。