第565章:卑劣の極み

森口花は黙り込み、自分を弁解することなく、彼女の感情を落ち着かせようとした。

「詩織、落ち着いて、私の話を聞いて……」

言葉が途切れる前に遮られた。「何を言うつもり?どうやってまた私を騙すの?森口花、あなたはなんて恐ろしい人なの?どうしてこんなに……」卑劣なことができるの。

声が詰まり、涙が雨のように流れ落ちた。

彼の優しい仮面が剥がれ、最も本当の姿を見せた時、黒川詩織が見たのは、出世のためなら手段を選ばない醜い魂だけだった。

出世のために、彼は巨大な嘘を織り成し、他人の感情を欺き利用し、少しの罪悪感も持っていなかった。

「詩織……」森口花は言いかけて止めた。

「私はあなたを憎む……憎む、絶対に許さない。」

黒川詩織は言い終わるとすぐに立ち去ろうとした。もうこの場所にいたくない、この人を見たくない。