これを見て、ジェスリンはため息をついた。M国では、見知らぬ人に声をかけて質問に答えてもらうようなことは、めったにない。
そのような質問をしたり答えたりすることは、不運を招き、最悪の場合、家族の全滅につながりかねない。
特に、国の三大勢力に関する質問の場合はなおさらだ。
警察は常に一般市民を装って情報収集を行い、悪事を働く者を取り締まっている。子供を含む一般市民も利用する。
標的の家庭に子供を養子として送り込み、監視対象の家族の情報を集めることもある。
だからこそ、市民は質問をしようとする人物を信用しない。特に三大家族に関することなら尚更だ。
マヤは、たとえ間違いであっても陸家を怒らせたくなかった。ルー兄弟を怒らせることは、自分と家族に天罰を呼び寄せるようなものだからだ。