オフィスの一室に入ると、その豪華さから社長室かと思われたが、違った。
コード5は平らな壁に手を当てた。すぐに掌紋認証スキャナーが作動し、こう告げた。
[ようこそ、コード5様...開始まで...5...4...3...2...1...エレベーターにお入りください]
ドアが開き、コード5がエレベーターに乗り込んだが、ジェスリンが一歩踏み出す前にドアが閉まり始めた。
コード5が開閉ボタンを押すと、ドアは閉まるのを止めた。
「なんでこんなに面倒なの?彼のオフィスまでの直通エレベーターはないの?」
「ありますが、ボス専用にプログラムされています」と彼は答えた。
ジェスリンはため息をついた。夫が用心深いのは普通だけど、これは行き過ぎじゃない?
まだ彼女は「行き過ぎ」の本当の意味を知らなかった。
コード5はエレベーターの5つのボタンの中から雲のアイコンを押した。雲のアイコン、暗い煙のアイコン、赤色警報アイコン、中止アイコン、そして開閉ボタン。