先ほどまで上品な身なりで髪も整えていた男が、しばらくすると命がけでパイパーを激しく突いていた。パイパーに引っ張られて、彼の髪は鳥の巣のようになっていた。
もはや上品さのかけらもない。見えるのは、まるで骨のないかのように腰を動かす飢えた狼の姿だけだった。
二人の体には汗の滴が光っていたが、そんなことは気にもとめなかった。大切なのは、両脚の間で燃え上がる欲望を満たすことだけだった。
…
その頃、ジェスリンはプールサイドで夫の太ももに寄りかかって日光浴をしていた時、一台の車が敷地内に入ってきた。見たことのない新しい車だった。
本を読んでいたマーベリックは、彼らに向かって走ってきて少し離れた所で止まった車に目を向けた。
そして再び本に目を戻した。怪しい人物なら、門で止められているはずだ。
車のドアが開いた。最初に降りてきたのは魅力的なブライアンだった。次に降りてきたのはパイパーだった。
二人は手を繋いで、プールサイドに座っているカップル...いや、一人は横たわり、もう一人は座っている二人に向かって歩いていった。
「お兄さん」パイパーはマーベリックに向かって呼びかけた。
ジェスリンは起き上がった。彼女はビキニを着ており、マーベリックは膝丈の黒いショートパンツを履いていた。彼の胸は引き締まってスベスベしていたが、脚と腕は少し毛深かった。清潔で、セクシーだった!
ジェスリンが完全に起き上がる前に、マーベリックは横に畳んでいた毛布を取り出し、ジェスリンの体を覆った。
ジェスリンはクスッと笑いながら、毛布をしっかりと体に巻きつけた。夫は嫉妬深く保護欲が強いため、彼女がビキニを着て外に出ることを許可する前に、全ての警備員と使用人の男性たちを宿舎に下がらせた。
二人きりでも、まだ安心できないようで、念のために毛布も持ってきていた。
マーベリックはパイパーの呼びかけを聞いても返事をしなかった。
「義理の姉さん」彼女は唇を閉じて、少し頭を下げながらジェスリンに微笑みかけた。
「ねぇ、パイパー、座って」彼女はヴァレンのラウンジチェアの隣にある一つを指さした。「あ、そこじゃないわ。ヴァレンが人間が座ったのを見たら激怒するから」
パイパーはクスッと笑った。「そうね、彼も私のことを嫌っているもの」別のラウンジチェアに座りながら言った。