浮気者のレックス

「ジェスリンが上層部からどんな扱いを受けているか、見てないとでも言うの?」

「トリア姉は、フィアレスエンターテインメントで最も大きな女性アーティストで、ケイト支配人をマネージャーとして持つ権利があるのに、会社は何をしたの?新人のジェスリンに彼女を与えて―」

「違う」とトリアは遮った。「ケイト支配人がジェスリンの面倒を見ることになったのは、セレスティン先輩の意向よ。ケイト支配人はセレスティン先輩のマネージャーだったの。先輩が業界を去った時、彼女は打ちのめされていたわ。だからジェスリンは、セレスティン先輩からケイト支配人への償いなの。それを知らないとは言わせないわ」

「それはあなたが聞かされた話よ。内部の人が別の話を教えてくれたわ。ジェスリンは、セレスティン先輩を師匠にする前は平凡な才能しかなかった。ケイト支配人の助けで歌を完璧にして、今では私たち全員より上手くなってる。もし私に同じチャンスが与えられていたら、ジェスリンより上手くなれたはず!」