佐藤大輝一行は佐藤家に戻った。
車から降りると、佐藤大輝はまず海浜市に連絡するよう部下に指示し、佐藤家と沢井家の間に不和はないこと、林円佳が出した命令を撤回することを伝えさせた。
佐藤さんは息子のこの細やかな配慮に感心した。
その後、一行は足早に屋内に入り、階段を上った。
出発時には佐藤翔太の容態が安定していることを確認し、その後の電話でも元気に飛び回っているという報告を受けていたが、やはり心配だった。
階上に着くと、部下が佐藤大輝を止めた。「林さんは病院に搬送され、林家の人々が引き取って看病しています。私も密かに林さんのDNAサンプルを採取しました。あとは少年のサンプルと照合するだけです…」
佐藤大輝の眼差しが一層深くなった。「すぐに実行せよ」
「はい」
部下が返事を終えたその時、部屋から佐藤さんの驚きの声が聞こえた。佐藤大輝が急いで部屋に入ると、佐藤さんが叫んでいた。「翔太が家出したわ!」