沢井恭子は彼の言葉を無視した。
佐藤大輝が一本の電話をかけると、整形外科の田中院長が大勢のスタッフを引き連れて階下に降りてきて、彼らの前に現れた。「佐藤さん、患者さんはどちらですか?」
佐藤大輝は老人を指さした。
田中院長は一歩前に出て、暴れる老人を押さえつけさせ、病院の中へ連れて行った。
その間、老人が電話をかけているのが聞こえた。「もしもし、警察ですか?通報したいんですが、ここで強制的に診察させられています...はい、住所は...」
「おい、このバカ息子、どこにいるんだ?親父が病院で金を巻き上げられそうなんだ!早く助けに来い!」
老人は電話をかけながら、手術室に押し込まれた。
外では、警察が到着し、沢井恭子と佐藤大輝の行く手を阻んで、老人が手術室から出てくるまで待つように言った。