佐藤大輝のシャツが開かれると、逞しい体が露わになった。普段は痩せて見えるのに、今になって筋肉の線が非常に美しいことに気づいた。
佐藤さんは息子の体格を賞賛する余裕もなく、ただじっと彼の右腕を見つめていた。そこには確かに白い傷跡があった!
傷跡は薄くなっていて、数年前のものだろう。
彼女は頭を下げ、近づいて観察した。
佐藤大輝は眉をひそめ、耳が赤くなりながら、服を引っ張って言った。「何をしているんですか?」
「動かないで」佐藤さんは彼の動きを制止した。普段は高慢な女性が、今は普通の母親のように呟いた。「あなたの体なんて全部見たことあるわよ。小さい時はお尻も丸出しで、お風呂に入れてあげたのよ。恥ずかしがることないでしょう?」
その言葉を聞いて、佐藤大輝の体が硬直した。
佐藤さんもはっとした。
彼女はゆっくりと体を起こした。
佐藤大輝は生まれてから、歩けるようになる前に海外で秘密裏に育てられ、その後も長く国に帰らなかった。息子に会いたくなると海外に行ったが、国内の会社の経営もあり、ここ数年は訪問も減っていた。
この長男との関係は、どう接していいのか分からなくなっていた。
息子が強くなったのは良いことだが、それが彼女を束縛するようになってしまった。
佐藤澄夫との付き合いのような自然さはない。
機嫌が良ければ、叩く。
機嫌が悪ければ、叩く。
機嫌に関係なく、手を出して掴める。
母子の関係は親密で、佐藤澄夫はこんなに大きくなっても、よく甘えてくる。でも、そういった親密な行動は、佐藤大輝とは一度もなかった。
今日は傷を見ることに焦って、一瞬、佐藤大輝を佐藤澄夫と同じように扱ってしまった。
我に返って、息子が不満に思うのではないかと心配になり、佐藤大輝の表情を注意深く観察した。彼は凤眸を伏せ、長い睫毛が目の中の複雑な感情を隠していたが、怒っている様子はないようだった……
佐藤さんはほっと息をついた。
部屋は一時的に静かになった。しばらくして、佐藤大輝は淡々と言った。「子供が大きくなれば、母親を避けるものです」
彼は開かれたボタンを一つずつ留め直し、佐藤さんに尋ねた。「何を見ていたんですか?」