第69章 正体を現す!

「そんなはずがない!」木村卓司は驚いて叫んだ。「細川奈々未先生はもう引退して、五年も新曲を出していないのに、どうしてあなたに二曲もあるの?」

金城栄治も信じられない様子で彼女を見つめていた。

沢井恭子は二人を無視し、景山誠の方を見た。「お父さん、準備して。小谷千秋さんがもうすぐ終わるはずだから」

「わかった」

景山誠は金城栄治の方を向いて言った。「君が細川奈々未先生の曲を歌いたがっているのは知っているよ。でも残念だけど、私が先に歌わせてもらうことになった。来月の音楽チャートで会おう」

そう言って立ち上がり、金城栄治の傍を通り過ぎる時にため息をついた。「私は歌うのをやめて、素直に演技だけに専念したかったのに、なぜか細川奈々未先生に気に入られて、どうしても彼女の曲を歌えと言われてしまって、はぁ……」

木村卓司と金城栄治は「……」

二人の顔には怒りの色が浮かんでいた。景山誠がレコーディングブースに入った後、金城栄治は苛立ちを隠せず木村卓司を見た。「どうすればいいんだ?全部お前のせいだ!彼を追い詰めなければ、まだ歌わなかったかもしれないのに!」

木村卓司も眉をひそめた。「おかしいな。どうして彼女が細川奈々未先生の曲を二曲も持っているんだ?私たちも細川奈々未先生に連絡を取ってみよう」

金城栄治は「お前、私が試してないと思うのか?この数年、メールで何通もDMを送ったし、Weiboでも何度もメッセージを送ったけど、もう五年もWeiboにログインしていないんだ!引退すると言ったら完全に引退してしまったんだ!」

細川奈々未先生が当時ブレイクしたのは、実はWeiboでだった。最初の曲を各音楽プラットフォームやエンターテインメント会社に送った時は誰も評価してくれなかったので、自分でWeiboに投稿したんだ。

そしたら大ヒットして、オファーが殺到した。

だから、Weiboのアカウントは持っているはずなんだ!

木村卓司は眉をひそめ、突然口を開いた。「心配するな。どうすればいいかわかった」

彼の目に凶暴な光が宿った。「この二曲は、絶対にヒットさせない!」

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沢井恭子は景山誠についてレコーディングブースに入った。

父親が状態に入れるか心配していたが、外で金城栄治に刺激されたせいか、それとも沢井千惠が居たせいか、意外と上手くいっている!