第91章 小おばさま?

三人は一緒に山村家のお爺さんの病室へ向かった。

途中、佐藤大輝は尋ねた。「五十嵐さんの具合はどうですか?」

「状態は良好です」藤原夏美は白衣を着て答えた。彼女は帰国後、この病院で働いており、両手をポケットに入れながら優しく言った。「特効薬の効果は非常に良好で、実は海外では既に動物実験を行っており、十数人の人体実験も実施しました。五十嵐さんの寿命を5年延ばすことは問題ないと思います。大輝さん、心配しないでください」

佐藤大輝は冷淡な態度で「ああ」と答えた。

そして隣の山村治郎に向かって「お爺さんの具合はどうですか?」と尋ねた。

山村治郎は溜め息をつきながら「元気すぎるくらいです。今朝も結婚を催促する電話をかけてきて、あの声の大きさときたら、耳が痛くなるほどでした」

佐藤大輝は「お年寄りには敬意を持って接するべきだ」と諭した。

「...分かってます」

三人は話しながら、整形外科病院に到着した。

昨日沢井恭子が救助した高齢者が手術室を出た後、彼らは既に帰っていたため、どこの病室にいるか分からなかった。VIP病室に着くと、山村治郎は「お父さん、大輝さんが見舞いに来ましたよ!」と呼びかけた。

そう言って扉を開けると——

部屋の中は空っぽだった?

山村治郎は呆然として、急いで携帯を取り出してお爺さんに電話をかけたが、全く応答がなかった。今度は介護士に電話をかけると、つながった。「山村さん...」

「父はどこですか?」

「お爺様が釣りに行きたいと言い張って、今河原に向かっています...」

山村治郎は怒って「まだ足を怪我してるのに、何を釣るんですか?すぐに戻るように言ってください!」

話が終わらないうちに、向こうの電話はお爺さんに奪われたようだった。「怪我したのは足だけで、手じゃないんだ。釣りは手があれば十分だろう。お前に口出しされる筋合いはない」

山村治郎は困り果てて「お父さん、足は地面につけちゃいけないんですよ」

「そんなことは分かってるよ!私は老人性認知症じゃないんだ。車椅子に座ってるんだよ!介護士も付き添ってくれてるから、心配するな!お前が孫を作ってくれないから、こうなるんだ。骨折は百日かかるんだぞ、その間ずっと病室で寝てろっていうのか?ふん!不孝者め!」

そう言って電話を切った。

山村治郎は「...」