第92章 薬！

山村家のお爺さんが三十代で山村治郎を授かり、今年もう六十になろうとしていた。

奥さんが病気で亡くなってから、彼の性格は変わってしまった。

山村治郎も放っておくわけにはいかず、電話を切るとすぐに車で川辺に向かい、車を停めて周りを見渡すと、すぐに山村家のお爺さんを見つけた。

彼の車椅子が目立ちすぎていた。

山村治郎は急いで近づき、尋ねた。「お父さん、新しいおばさんは？」

中年の女性に会えると思っていた...父親が第二の春を迎えるのかと感慨深く思っていたのに。

すると山村家のお爺さんは「フン」と鼻を鳴らした。「遅すぎたんだよ！子供を迎えに行ったんだ！」

山村治郎は「...」

気にせずに言った。「大丈夫です、きっとまたおばさんに会える機会がありますよ！」

山村家のお爺さんは鼻を鳴らして言った。「昨日話した名医だよ。昨日も会えなかったし、今日も会えなかった。でも約束してくれたんだ。明日、病院に親戚を見舞いに来るついでに私のところにも来てくれるって。午後2時だから、必ず会いに来るんだぞ、分かったか？」

「はいはい、分かりました。今から病院に戻りますか？」

「戻らない。家に帰って、おばさんがくれた魚を食べてから病院に行く！」

「...」

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沢井恭子はもう帰っていた。彼女はこういったお年寄りたちと話すのが好きだった。みんな退職していて、釣りなど共通の話題があった。広場で将棋を指すときに、この人たちに誘われたのだ。

でも、彼らの子供たちとは付き合いたくなかった。面倒くさすぎる。

午後になり幼稚園が終わると、彼女は学校に佐藤翔太を迎えに行った。

門の前で。

古市奈江子先生が子供たちを送り出していた。彼女は無理な笑顔を浮かべながら、遠くを見つめていた。

「どうしたの？」と誰かが尋ねた。

古市奈江子先生はぼんやりと「なんだか、1組の佐藤翔太君が村野の母に連れて行かれたように見えたんだけど...」

「そんなはずないでしょう？」その先生は言った。「何を考えているの！佐藤翔太は佐藤家の坊ちゃまよ。村野なんて関係ないでしょう。あなたはもう園長先生に叱られたんだから、私なら謝罪する機会を見つけるわ。そんな夢みたいなこと考えないで！」

古市奈江子先生は眉をひそめた。

彼女はため息をつき、子供たちを全員送り出した後、園長が近づいてきた。