第123章 クライマックス!口パクの証拠!!

二人が話を終えると、沢井恭子は立ち去り、佐藤澄夫はドアをノックした。すぐにドアが開いた。

白井桜子は俯いて、山崎夏枝と一緒に出てきた。山崎夏枝は佐藤澄夫を見つけると、目を輝かせた。「佐藤さん?」

「はい」佐藤澄夫は花を山崎夏枝に渡した。「今日はお見舞いに来ました」

「ありがとうございます~」山崎夏枝は甘く微笑んで、花を何気なく白井桜子の手に渡し、持っていてくれるように頼んだ。

白井桜子は慌てて受け取った。

彼女の心は見えない手で掴まれたかのように、鈍く痛んだ。

彼女は手の中のユリの花を見つめた。

実は彼女はユリの花が大好きで、高校時代に佐藤澄夫が彼女を追いかけていた時、たくさんのユリの花を贈ってくれた。

でも当時、佐藤澄夫は次々と彼女を変えていたので、彼女は承諾する勇気がなかった。

まさか今日、このユリの花は結局他人に贈られることになるとは。

佐藤澄夫はこの状況を見て、思わず眉をひそめた。

しかしすぐに表情を和らげて「山崎さんは何番目の出番ですか?」

山崎夏枝は笑顔で「さっき抽選があって、8番目です」

「わかりました。必ず真剣に聴かせていただきます!」

数言葉を交わした後、山崎夏枝はメイク直しと機材の調整に行った。白井桜子は山崎夏枝の後ろについて、俯いたまま、佐藤澄夫を知らないふりをした。

佐藤澄夫:?

彼は白井桜子の後を追った。

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今日の出演順序は、事前に決められていたものではなく、現場スタッフによる抽選で決められた。沢井恭子は最後の順番を引いた。

しかし番組側は審査員席に彼女の席を用意し、残った歌手たちを辛口評価できるようにした。

この回の出場者たちは皆上手かった。

楽屋裏。

山崎夏枝はもうすぐ舞台に上がる予定で、白井桜子を舞台裏の部屋に案内しようとしていた時、スタッフが注意を促した。「お姉さん、佐藤さんがずっと私たちの後をついてきています」

山崎夏枝はそこで初めて、佐藤澄夫が楽屋にいて、前の舞台で歌っている人たちにはあまり興味がないような様子だと気付いた。

彼女は近寄って声をかけた。「佐藤さん、なぜ番組を見に行かないんですか?」

「いや、彼らの歌なんて聴く価値ないよ」佐藤澄夫は手を振った。「気にしないで、ここで見ているから」

おバカな佐藤澄夫は今回賢明にも、白井桜子を見張りたいとは言わなかった。