第124章 山崎夏枝は完全に終わった!

沢井恭子は白井桜子をじっと見つめていた。

彼女は白井桜子の心理診断を行ったばかりで、彼女の精神疾患が今どれほど深刻か分かっていた。刺激を受けたばかりで、最も脆弱な時期だった。

群衆はおろか、楽屋で3人以上の人がいるだけでパニックになってしまう。

木下毅も言っていた。この病気は少なくとも痩せて自信を取り戻してから治療すべきで、今は介入できない。そうでないとさらに悪化してしまうと。

しかし、そんな白井桜子が、臆病で無力な白井桜子が、6年間もPUAされ続けた白井桜子が、今この瞬間、彼女のために立ち上がった。

彼女には白井桜子の全身が微かに震えているのが見えた。

客席を見ようとして見れない、必死に床を見つめる慌てた怯えた眼差しが見えた。

沢井恭子は思わず拳を握りしめた。

客席の佐藤澄夫も呆然としていた。