藤原夏美は質問されて唇を噛んだ。「どうしたの?この薬に問題があるの?」
鈴木涼子は目を細めた。彼女の考えはシンプルだった。
この薬が鷹野隆の頭痛に効くのなら、なぜ薬を開発した人を探して、鷹野隆専用の頭痛薬を作らないのか?
鷹野隆の頭痛は数日おきに発作が起きる。
以前の鎮痛剤はもう効かなくなっていた。
彼女は藤原夏美を見つめて「話せ」と言った。
藤原夏美は当然、彼らに名医を探させるわけにはいかず、目を伏せて「これは私の先輩が開発したものです。その人は海外にいて、行方は定まっていません」と答えた。
鈴木涼子は意味ありげに彼女を一瞥し、手を放した。
藤原夏美はようやく安堵の息をつき、薬を持って鷹野隆の部屋に入った。
部屋に入ると、鷹野隆が真っ赤な目で藤原夏美を睨みつけているのが見えた。「なぜ今日は頭痛が酷くなっているんだ?」