二見恵子は遺体安置所から少し離れた場所に立っていた。
彼女は携帯を取り出し、木村弁護士と沢井恭子、そして松井さんとの先ほどのやり取りを撮影した。
そしてWeChatを開き、ある記者を探し出した。
ここで働いていると、センシティブな事件に関わることが多く、以前にも記者に情報を提供して報酬を得たことがあった。
二見恵子は入力した:【金持ち二世の殺人事件の最新情報、要る?】
相手は即座に返信:【欲しい、二千円で】
二見恵子は口を尖らせた:【五千円、それ以下なら他を当たるわ】
相手:【高すぎじゃない?どんな情報?】
二見恵子:【金持ち二世の弁護士が人を連れて遺体を見に来たわ。遺体に手を加えようとしてるんじゃないかしら。動画も撮ったわよ】
相手:【よし、送って】
そう言うと、すぐに五千円が振り込まれた。