第172章 なぜここにいるのですか?

二見恵子は遺体安置所から少し離れた場所に立っていた。

彼女は携帯を取り出し、木村弁護士と沢井恭子、そして松井さんとの先ほどのやり取りを撮影した。

そしてWeChatを開き、ある記者を探し出した。

ここで働いていると、センシティブな事件に関わることが多く、以前にも記者に情報を提供して報酬を得たことがあった。

二見恵子は入力した:【金持ち二世の殺人事件の最新情報、要る?】

相手は即座に返信:【欲しい、二千円で】

二見恵子は口を尖らせた:【五千円、それ以下なら他を当たるわ】

相手:【高すぎじゃない?どんな情報?】

二見恵子:【金持ち二世の弁護士が人を連れて遺体を見に来たわ。遺体に手を加えようとしてるんじゃないかしら。動画も撮ったわよ】

相手:【よし、送って】

そう言うと、すぐに五千円が振り込まれた。

二見恵子は口元を歪め、先ほど撮影した動画を送信した。

相手は動画を見て非常に興奮した様子で:【これからもよろしく、こういう動画をもっと送ってね】

メッセージを送ってから2分もしないうちに、相手の新聞社はこのニュースを公開した。見出しは:#金持ちの無罪放免の手口は実に多様#。

その下には二見恵子が撮影した動画が添付されていた。

動画は数人を後ろから撮影したもので、木村弁護士の横顔と松井さんの正面だけが映っており、沢井恭子は映っていなかった。

動画には、木村弁護士がタバコを差し出す様子などが収められており、大きな赤字で「死者も安らかに眠れず、遺体に手を加えて無罪を勝ち取ろうとしている!お金があれば何でもできるのか?」と書き込まれていた。

もともと山崎の母がネット上でこの事件を大きく騒ぎ立て、何度も記者のインタビューを受けており、事件の注目度は非常に高かった。

この動画が出るや否や、たちまちホットトピックになった。

以下は市民たちの集団抗議だ:

——ひどすぎる!良心的な記者が暴露してくれて良かった。でなければ、この人が無罪放免されても、私たちは何が起きたのかわからないままだったわ!

——今どき人殺しや強盗も罰せられないってこと?

——金持ちだからって偉そうにしてんの?金があれば本当に何でもできるんだね。