第173章 記者と結託して情報を売った人物は二見恵子だった!

村上隊長のこの言葉に、上司は少し戸惑った。

木村弁護士もはっとして、状況が少しおかしいのではないかと感じた。

沢井恭子は落ち着いていて、ただ淡々と言った。「遺体を見せてください。」

「問題ありません。」

村上隊長は自ら一行を遺体安置室へ案内し、入り口の前で振り返って、一緒に入ろうとする上司と木村弁護士に言った。「外でお待ちください。」

「……」

二人は沢井恭子と村上隊長が遺体安置室に入っていくのを、ただ見つめることしかできなかった。

外で、上司は我慢できずに村上隊長の部下に尋ねた。「あの若い女性は、村上隊長と知り合いなのか?」

自分は聞き間違えたのだろうか?

村上隊長は今年もう四十代なのに、若い女性に対して「あなた様」と呼ぶなんて?

部下も頭を掻きながら「分かりません!」

部下は只、ある謎の人物が存在し、遺体を見て事件解決の手助けができるということだけを知っていた。しかし、それは全て村上隊長が連絡を取っていて、自分は会ったことがなかった。

上司は黙り込んだ。

木村弁護士は緊張した様子で入り口を見つめ、状況が掴めないまま、急いで携帯を取り出し、佐藤大輝にメッセージを送った。【沢井さんが京都から来た隊長に、遺体安置室に連れて行かれました。】

佐藤大輝の返信は簡潔だった。【分かった。】

木村弁護士:?

分かった?

こんなにあっさりと?

来る前にわざわざ事務所に呼び出され、沢井恭子はこういった規則を知らないかもしれないから、必ず面倒を見て、不当な扱いを受けないようにと言われたのに!

-

遺体安置室内。

村上隊長は親切に山崎武弘の遺体のある場所まで歩き、冷凍庫から遺体を引き出した。

もし彼の部下がここにいたら、きっと驚いて顎が外れるだろう。

村上隊長は今年四十代で、威厳があり気迫があり、家柄も良く、京都では他人に対して決して愛想を振りまかない人なのに、いつからこんなに親切になったのか?