第189章 感染

ザルスの反応に、その場にいた全員が呆気に取られた。

木村和俊は自分の先生を見つめ、眉をひそめて尋ねた。「先生？彼女を知っているんですか？」

藤原夏美も眉をひそめ、心の中は大波が打ち寄せていた。

先生は沢井恭子を知っているの？いや、景山神医を知っているの？

藤原夏美はすぐにそれらを理解し、心の底に不吉な予感が走った。

ザルスは景山神医の身分が秘密にすべきことを理解していた。先ほど相手の名前を呼んでしまったことは既に過ちを犯していた。すぐに口を閉ざした。

彼は咳払いをし、顔から不機嫌な表情は完全に消え、ただ沢井恭子を見つめて尋ねた。「本当に感染症があるんですか？」

この瞬間、彼は事の次第を理解した。

以前は佐藤グループの今回のやり方があまりにも露骨すぎると思っていたが、実は景山神医が判断した感染症なら、それは間違いなく本物だ。

沢井恭子は頷いた。「解熱丸はさらに30万錠必要です。研究開発は続けられますが、下の作業員は残業して製造する必要があります。問題ありませんか？」

ザルスはすぐに答えた。「問題ありません。」

その場の人々：？？

沢井恭子がここに来たのは、生産環境を確認するためだった。これほど多くの薬の製造過程で、一つでも細部に問題が生じれば、全ロットの薬の効果が半減してしまうからだ。

彼女がちょうどザルスにこの要求を出そうとしたとき、突然携帯が鳴り出した。

電話に出ると、向こうは村上隊長の声だった。「部署で発症者が出ました。」

この言葉に沢井恭子の表情が凍りついた。「患者はどこにいますか？すぐに向かいます。」

村上隊長は病院の住所を伝えた。

電話を切ると、沢井恭子はザルスを見た。「薬の製造の件は、お願いします。私は用事があるので、先に失礼します。」

「...わかりました。」ザルスの声には少し不満が混じっていた。「次は時間があったら、また来てください。」

安定剤の改良には、まだ彼女のアドバイスが必要なのだ！

沢井恭子は頷き、呆然とした表情の山村治郎を連れて立ち去ったが、出る前に山村治郎は藤原夏美を深く見つめた。

二人が去った後、木村和俊はザルスに向かって尋ねた。「先生、本当にあの薬を製造するんですか？」

ザルスは頷いた。「ああ、私はまず製薬工場を見に行く。」