佐藤大輝は顔を上げ、深い瞳で山村治郎を見つめた。「礼儀作法を忘れたのか?」
山村治郎はそこで自分がノックもせずに入室したことに気づいた。すぐに部屋を出て、「申し訳ありません。興奮していました。もう一度ノックしてから入り直しましょうか?」
佐藤大輝が何か言う前に、佐藤樹富が彼を止めた。「今はそんな場合じゃない。さっき感染したって何のことだ?」
山村治郎はようやく携帯を佐藤樹富に渡した。「山崎武弘の遺体に触れた法医学者の一人が感染したんです。この件はすでにネットで話題になっています。関係部署から、解熱丸を購入して予防治療するよう呼びかけがありました。」
佐藤樹富は絶望的な気持ちだったが、このニュースを見て目が輝いた。「本当に感染症が...これは本当だったんだ!」
彼は山村治郎の携帯を持って外に向かった。「今すぐこのニュースを株主たちの顔に叩きつけてやる。よく見せてやるぞ!」