佐藤百合子の言葉を、佐藤大輝はもう聞こえていなかった。
彼の世界は突然無音になったかのようだった。
彼の注意は全てその金色のマスクに向けられていた。
五一八号室は彼女だった!本当に彼女だったのだ!!
彼女は死んでいなかった……まだ生きていた!
しかし五一八号室の遺体の残骸は彼が実際に見ていた……
それに、彼は五一八号室がマスクを外した姿を見たことはなかったが、五一八号室は彼の素顔を知っていた……
一体これは全て、どういうことなのか?
佐藤大輝は震える手で、佐藤百合子の顔からマスクを外した。
あの爆発の後、彼はこのマスクを探すことすらしなかった。このような素材のマスクは爆発の高温に耐えられるはずがなく、必ず溶けてしまうと思っていたからだ。
しかし、そうではなかった。