第252章 白井家の者

五十嵐正弘は杉村智之の言葉を聞いて、思わず眉をひそめて白井隆司を見た。

どんな父親でも、自分の娘を顔だけが取り柄で何の取り柄もない男と結婚させたくはないだろう。

彼は眉をひそめて尋ねた。「君は誰だ?なぜ白井家の者を名乗るんだ?」

五十嵐紀代実が話そうとすると、五十嵐正弘は彼女を一瞥して言った。「彼に自分で話させなさい。」

白井隆司は突然、両親に会う時のような緊張感を覚えた。彼は咳払いをして喉を清め、それから言った。「私は白井姓で、名前は隆司です。白井家の者です。」

この言葉に彼は何とも言えない恥ずかしさを感じた。

白井家には息子が多く、孫の世代となるとさらに多かった。

彼はずっと控えめに生きてきた。お爺さんとの仲は一番良かったが、嫡男の長男ではなかったため、外部に公表したことはなく、これが初めて白井家の威光を利用することだった。

しかしその言葉を聞いて、杉村智之は笑い出した。彼は温井琴美の方を向いて言った。「琴美、白井家に白井隆司なんて人がいるって聞いたことある?」

温井琴美は笑いながら首を振った。「全く聞いたことがありません。」

白井隆司は控えめな性格だったので、白井家と付き合いのある人だけが彼の存在を知っていた。温井家とは全く関係がなく、白井家は京都にまだ温井家があることさえ知らなかったのだ!

だから温井琴美が彼を知るはずがない。

白井隆司:「……」

彼が何か説明しようとした時、杉村智之が嘲笑うように言った。「白井姓だからって京都の白井家の人間だと?もしかしたら本当に同じ先祖かもしれないけど、今回の訪問も親戚づきあいを求めに来たんじゃないの?執事、この人を追い出してください。本物の白井家の方が来る前に、恥をかかせないように!」

白井隆司:!

彼は本当にお爺さんの孫なのに、どうやって自分の身分を証明すればいいというのか!

彼が何を言えばいいのか分からなくなった時、五十嵐紀代実の澄んだ声が聞こえてきた。「ここは五十嵐家です!どんなお客様をもてなすかは、杉村さんが決めることではないでしょう!」

杉村智之は即座に彼女を見た。「紀代実さん、どういう意味だ?まさか彼を招き入れて、本当に白井家に紹介するつもりじゃないだろうな?」

五十嵐紀代実は彼のこういう人を見下すような態度が一番嫌いだった。