第280話 真実!!

沢井康正は七十歳を過ぎているにもかかわらず、動きは敏捷で、歩く姿は颯爽としていた。

誰が見ても、彼の健康状態の良さに感心せずにはいられなかった。

校長は横で笑顔を浮かべながら、五十嵐孝雄の学校での優れた成績について説明していた。

生徒がまだ卒業前に黄金ホールで演奏できる機会があれば、学校の名誉にもなるというものだった。

沢井康正は淡々とした表情を浮かべていた。

校長の話は、一言も耳に入っていなかった。

年を取って目が霞んでいたため、舞台上の少女の顔ははっきりと見えなかったが、その雰囲気に懐かしさを感じた。

まるで四十年以上前の五十嵐夕見子のようだった。

そう思うと、思わず足を速めた。

楽屋裏。

沢井恭子と五十嵐孝雄が高台から降りてきた。五十嵐孝雄は目を輝かせて彼女を見つめ、その興奮した表情は言葉では表現できないほどだった。