第275章 方雄の末路!

五十嵐孝雄は彼を見つめ、もう何も言わず、顔には嘲笑いが浮かんでいた。

この冷淡な態度に、方雄はさらに腹を立て、温井琴美たちと一緒に控え室へと向かった。

今、演目は10番目まで進んでおり、スタッフが近づいてきて五十嵐孝雄に声をかけた。「五十嵐君、君たちは16番目の演目だから、控え室で待機してください。」

「はい。」

五十嵐孝雄は立ち上がり、無意識に古琴に手を伸ばした。

しかし、古琴に触れた瞬間、指が急に縮こまった。

彼の動きが一瞬止まり、表情が暗くなった。

自分の指を見つめながら、この衝動的な行動が良かったのか、それとも悪かったのか、一瞬わからなくなった...なぜなら、一曲を最後まで弾ききれないかもしれないことを知っていたから。

彼が目を伏せて考え込んでいる時、古琴のケースが白く長い指に持ち上げられた。