第304章 真相と告白

夜の闇が墨のように深く、月明かりが杉林に静かに降り注いでいた。

沢井恭子は少し顔を上げ、目の前の男を見つめていた。

佐藤大輝の緊張していた体が徐々に緩んでいく。彼の鋭い瞳は深遠で、まるで広大な星空のようだった。この瞬間、無数の星の光が彼の瞳に集まっているかのようだった。

彼は少し震える声で尋ねた。「五一八号室、北極のオーロラを見たいかい?」

沢井恭子は一瞬戸惑い、少し沈黙してから答えた。「見たいです」

「エジプトのクフ王のピラミッドは見たい?」

「見たいです」

「バビロンの空中庭園は見たい?」

「見たいです」

「阿蘇山火山の噴火時の青い炎は見たい?」

「見たいです」

「海望岬海域で冒険して波に乗りたい?」

「はい」

男の声は緊張と震えから次第に落ち着きを取り戻し、彼の瞳も深い愛情から真摯な眼差しへと変わっていった。彼は一言一句はっきりと言った。「実は僕はこういった冒険にはあまり興味がないんだ。でも君と一緒に行きたい。人生という旅路を君と共に歩み、生涯を共にしたい。心ときめく始まりから、白髪となるまで。君は、どう思う?」

沢井恭子は彼が何故突然また告白をするのか理解できず、どう答えればいいのか分からなかった。

佐藤大輝は彼女の返事を待たずに、苦笑いを浮かべながら言った。「これは当時、君に告白するために用意していた言葉なんだ。鏡の前で何度も練習したけど、結局使うことはなかった」

沢井恭子は拳を握りしめた。「じゃあ、なぜ今言うんですか?」

佐藤大輝は彼女から視線を逸らした。「真実を話したら、もうこの言葉を言える機会がなくなるかもしれないと思ったから」

沢井恭子は目を伏せた。

佐藤大輝は笑みを浮かべ、口を開いた。「当時の真相が分かった。山村治郎は国内で確かに君と彼が恋愛関係にあったことを証言する人々を見つけた。浦和音楽学院の食堂のおばさん、かつてデートしていた公園の管理人、そして彼女が挙げた当時の同僚たち。山村治郎に一人一人確認させたところ、みんな君と彼を見たと言っている。だから君たちのあの恋は、本物だった」

彼は手を伸ばし、沢井恭子の頭を撫でようとした。

沢井恭子は一歩後ずさり、それを避けた。