第312章 胃のCT

「林院長！」

家政婦の驚きの声に、白井奥さんを支えながら戻ってきた沢井彩芽は一瞬立ち止まり、すぐに会議室に駆け込んだ。

林院長の状態を見るなり、彼女はすぐに脈を取りに行った。

「林院長はどうされたんですか？何があったんですか？」

家政婦はそう言いながら、視線は沢井恭子が林院長に残した薬丸に向けられていた……

「もしかして沢井さんの言っていたことが全部本当だったんでしょうか？」

家政婦は驚いて声を上げた。

沢井彩芽は彼女を一瞥し、この時すでに林院長の脈診を終えていた。彼女は落ち着いた口調で言った：「慌てる必要はありません。林院長は低血糖で気を失っただけです。」

そう言って、彼女は銀針を取り出して施術し、林院長はゆっくりと意識を取り戻した。

沢井彩芽は彼女にチョコレートを渡し、ため息をつきながら言った：「ゆっくり休んでいただくべきでした。」

林院長は今や70歳、何もかも自分でやるべきではない。

しかし、幼稚園が誰かの金儲けの道具になることを心配して、必ず自ら子供の両親と面接し、さらに子供たちに適切な先生を手配しなければならないと考えていた。

林院長は確かに疲れすぎていた。

林院長は眉間をこすり、そして腹部を押さえた。「大丈夫です。朝食を食べていなかっただけで、大げさに騒ぐことはありません。」

家政婦は大きくため息をついた。

林院長に朝粥を持ってきた後、家政婦は院長を見ながら躊躇いながら口を開いた：「院長、先ほど百合子の母の沢井さんが帰る前に、院長の病気はがんかもしれないと言っていました……」

その言葉が落ちるや否や、林院長は少し驚いた様子を見せた。

傍らの沢井彩芽は眉をひそめた。

家政婦は心配そうに言った：「今年はちょうど健康診断の時期でもありますし、明日の健康診断を予約させていただきましょうか？」

林波津子は眉をひそめ、沢井彩芽を見た。

彼女の胃の具合は常に沢井彩芽が調整を手伝っていた。もし他の診断を受けるなら、密かにすべきで、このように面と向かって言うのは、沢井彩芽の医術を疑問視することにならないだろうか？

家政婦の対応はまだ円滑さに欠けていた。

林波津子が断ろうとした時、沢井彩芽が言った：「私は林院長の胃に何の異常も感じていませんが、全身検査をして、CTスキャンを撮るのも良いことです。病状を見逃さないためにも。」