第324章 掌の表と裏

白井奥さんは老眼鏡越しに、白井恵理子のスマートフォンを覗き込んだ。

画面にはクラス全員の写真が映っていた。新入生が来るたびに集合写真を撮るのは、幼稚園の決まりだった。

写真の中の一人一人が小さく、白井恵理子が写真を拡大して佐藤奈々子を見つけても、白井奥さんが見えるほど拡大すると、写真はぼやけてしまっていた。

それでも白井奥さんは、写真を通して何か懐かしい感覚を覚えた。

しかし、どれだけ見ても、はっきりとは見えなかった。

彼女は口を尖らせた。「ただの小娘が、私の孫の枠を奪おうだなんて、とんでもない!」

彼女は震える手で白井恵理子の頭を撫でた。

傍らの沢井彩芽はそれを見て安堵の息をつき、すぐに言った。「お義母様、林院長に電話をされますか?」

白井奥さんは携帯を取り出した。「ええ、今すぐにでも!」