沢井彩芽が外に出ると、林院長が近くで沢井恭子と話をしているのが見えた。
林院長は命を救ってくれた恩に感謝していた。「景...沢井さん、あの日は本当にありがとうございました!」
相手が自分の身分を明かさなかったことに沢井恭子は満足していた。林院長が自分の意図を理解してくれたことを知り、手を振って言った。「どういたしまして」
しかし林院長は複雑な表情で沢井恭子を見つめ、申し訳なさそうに言った。「お呼びしたのは、スパートンの弟子入りの四番目の枠について説明させていただきたかったからです...」
彼女は長い間躊躇して、どう切り出せばいいのか分からなかった。
沢井恭子は彼女の様子を見て、何かを悟ったようだった。「四番目の枠は、院長先生がお願いしたものですか?」
林院長は頷いた。「白井奥さんのためにお願いしたんです。幼稚園の株式の三分の一をスパートンに譲りました」