第340章 身元確認！

沢井恭子は眉をひそめた。

彼女は携帯を見つめながら、この修復は少し簡単すぎると感じた。システムにハッキングして少し操作しただけで、削除された映像が修復できてしまった……

沢井彩芽はいつも完璧に物事を進める人で、決して人に付け入る隙を与えない。特にこんな重大な事件で、こんなに杜撰なはずがない。

そして沢井彩芽は心が沈んだ！

これは……あり得ない！

彼女が雇ったのはプロのハッカー、コードネームCYだ！

CYは彼女が最も信頼するハッカーで、以前にも何度か同様の案件を依頼したことがある。

彼女はCYの本当の実力を試すため、わざと何かを削除させ、その後修復を依頼したが、ハッカーXでさえ修復できなかった……

なぜなら、物を壊すことは修復するよりも簡単だから！

なのに、なぜ監視カメラの映像が修復できたのか？

彼女は沢井恭子が持つ携帯を信じられない思いで見つめ、沢井恭子がブラフをかけているに違いないと思ったが、沢井恭子はその時間帯の監視カメラ映像を直接再生し、彼女の執事の姿が皆の前にはっきりと映し出された！

監督は白井桜子を連れ去った人物を驚愕の表情で見つめ、そして信じられない様子で沢井彩芽の方を振り向いた。

彼女の執事はこの件を済ませた後、すぐに帰宅した。万が一白井桜子が発見された場合、彼女のアシスタントが誰が白井桜子を連れ去ったのか特定しようとするのを恐れたからだ。

その時、ここにいたすべてのスタッフが集められることになり、執事は先に離れることで、白井桜子のアシスタントと顔を合わせるのを避けようとした。

しかし誰も、完璧なはずの監視カメラの映像が修復されるとは思っていなかった。

監督の視線に気づいた沢井恭子は目を細めて言った。「監督、映像に映っている人物をご存知ですか？」

監督が躊躇していると、沢井恭子の声音が急に冷たくなった。「これは殺人未遂に当たります。監督、本当のことを話さないおつもりですか？」

監督はすぐに言葉に詰まり、唾を飲み込んだ。「この人物は、確か白井奥様の執事のように見えます……」

その言葉を聞くと、沢井恭子はすぐに沢井彩芽の方を鋭い眼差しで見つめた。「では沢井さん、あなたの執事はどこにいますか？」

沢井彩芽は緊張して拳を握りしめ、唾を飲み込んだ。「彼は、彼は……」