第352章 沢井家

沢井恭子は再び佐藤大輝を見つめた。

昨夜この男が言った言葉を思い出し...もし沢井お爺さんの琴譜を修復できれば、沢井お爺さんは彼らを責めないでほしいと願った。

沢井彩芽の件について、確かに復讐とはいえ、沢井家の面子を潰しすぎたと言える。

名家は面子を重んじ、物事を行うときはお互いに面子を立て合う。

昨日のような事件では、ほとんどの當主なら沢井彩芽の悪行を沢井お爺さんに告げ、沢井家に処罰を任せるだろう。しかし、彼らは皆、白井家は沢井家に及ばないことを知っていた。

もし本当に沢井彩芽を沢井お爺さんに引き渡せば、沢井家は利益面で譲歩するかもしれないが、沢井彩芽本人には実質的な害は及ばないだろう。だからこそ、彼らはあれほど無謀に見えた。

沢井恭子がそう考えていると、太極拳もついに最後の収式に至った。