第369章 逆ギレ!

佐藤大輝は淡々とした声で言った。「沢井社長」

彼に電話をかけてきた人物は、まさに沢井中だった。

沢井中の声が向こう側から聞こえてきた。「君たちの原材料を、引き取ることにした」

佐藤樹富:!!

何が起きたのかは分からなかったが、とりあえず大きくほっとして、すぐに佐藤大輝にジェスチャーを送った。

佐藤大輝は尋ねた。「価格は?」

沢井中は言った。「市場価格の半額でどうだ?」

佐藤樹富は直ちに「OK」のジェスチャーを示した。

この原材料は、培養皿に大金をかけて購入し、研究開発費を加えると、すでに1億円を超えていた。しかし実際、この研究開発は京都に来た当初から、沢井家に対する探り石として用意されたものだった!

佐藤家はこれまでの年月で、すでに資産が数百億円を超えており、1億円の損失は佐藤家にとって何の痛手にもならなかった。

この原材料が売れないと言われていたのは、これからの佐藤家の医薬品市場に関わっていたからだ!

現在、京都の医薬品市場は沢井家が握っており、佐藤家は全く入り込めない状況だった。

沢井家と協力関係を結べば、外部に向けて一つのシグナルを発することになる。それは沢井家が許可を出したということで、佐藤家も足場を固めることができるということだ!

正直に言えば、この原材料を沢井家に無償で提供したとしても、沢井家と長期的な協力契約を結べるのであれば、この1億円は価値のある投資となる。

半額どころか、1割でも佐藤樹富は受け入れられた。

しかし、佐藤大輝は決して損をする取引はしない。彼は遠回しな言い方もせず、直接言った。「沢井社長、F国の状況は私も把握しています。彼らは今、自身の問題で手一杯で、少なくとも2ヶ月は供給が途絶えるでしょう。もし彼らの研究開発期間が長引けば、供給停止期間はさらに長くなるかもしれません」

沢井中の声は急に高くなった。「なに?佐藤社長は値段を吊り上げるつもりか?」

佐藤大輝は目を伏せて言った。「市場価格で提供することはできます。ただし、2年間の供給契約を結ぶことが条件です」