076 すり替え

二見奈津子は納得していなかった。「佐々木和利さんが厳しく追及しようと思えば、できないことはないでしょう!」

佐々木理恵は憂鬱そうな顔をして言った。「この女たちは、なんて厚かましいんでしょう!——お兄さんは追及しないと思います。これはお義姉さんの作品のプロモーション文章で、写真もきっとお義姉さんがお兄さんのところから選んだものです。」

二見奈津子は頷いた。確かにその通りだった。

藤原美月は佐々木理恵に笑いかけて言った。「今、お義姉さんを名乗る人が多いのよ。大混乱になってるわ!」

佐々木理恵は「ふん」と鼻を鳴らした。「大丈夫です。最悪の場合は、お兄さんに声明を出してもらって、お義姉さんの身分を公表すればいいんです!」

「あ、それだけはやめて——」二見奈津子は慌てた。

藤原美月は笑って言った。「それもいいわね。そうすれば私たちの映画は撮影開始から注目を集めることになるわ。」

二見奈津子は額に手を当てた。「余計なことはしないで。理恵ちゃん、お兄さんに電話して、絶対に何も釈明しないように、何も言わないようにお願いして。」

佐々木理恵は納得がいかない様子で言った。「どうしてですか?お義姉さん、彼女たちは便乗しているんです!お兄さんは彼女たちの誰とも怪しい関係なんてないんです。誤解しないでください!」

二見奈津子は降参のポーズをした。「誤解してないわ、してないから!ただ余計なことはしないでって。そうじゃないと撮影できなくなるわ。あなただって初めての撮影で、パパラッチに毎日張り込まれたくないでしょう?」

佐々木理恵はようやく理解し始めた。

藤原美月は彼女の肩を叩いた。「お義姉さんの言いたいことは、この作品は私たち自身の力で成功させたいということ。変な手段に頼りたくないし、撮影開始から余計な注目を集めたくない。それが後の宣伝にも影響するから。分かった?」

佐々木理恵は理解はしたものの、「でも、まだ腹が立ちます!」

お嬢様は頬を膨らませて怒っていた。

二見奈津子は前に出て彼女の頬をつついて笑った。「これもあなたが女優として学ぶ最初の教訓よ。小さなことに我慢できないと大きな計画が台無しになるわ!この件は忘れて、お兄さんに余計なことを言わないように言っておいて!」

この事態の展開は佐々木和利も予想していなかった。