二見和利は目の前の分厚い弁護士からの内容証明郵便の山を呆然と見つめた。「これ、これ、全部私たちのものですか?」
向かいの弁護士は無表情で答えた。「はい、二見さん」
「そんなはずない?ありえない!」二見和利の頭の中は真っ白になった。
弁護士は丁寧に説明した。「私どもの調査によりますと、これらのネット上の過激な発言のIDはすべて貴社の社員によるものです。また、一部の散発的なユーザーも貴社の社員に指示され、金銭を受け取って行動したと証言しています。私どもは依頼人の委託を受け、この誹謗中傷の関係者全員を徹底的に追及する所存です」
二見和利の思考が徐々に戻ってきた。「あなたの依頼人は、二見奈津子ですか?」
弁護士は「正確には二見奈津子さん個人ではなく、彼女の事務所です。ただし、彼女個人に対する誹謗中傷については、私のもう一人の依頼人が徹底追及を要求しています」