高橋真理子は博之ちゃんのマネージャーに付き添われて記者会見を開いた。
かつて「清純派」の後継者と称賛された高橋真理子。以前の若々しく可愛らしい姿とは別人のようだった。
カメラの前で、高橋真理子は涙を流しながら、海外に騙されて連れて行かれ、何度も死と隣り合わせになり、ようやく国内の特殊部隊に発見され救出されたこと、もう少しで別の国に売られるところだったことを訴えた。
高橋真理子の境遇に同情の声が上がり、博之ちゃんはこれを機に涙ながらに、契約を結んでいた多くのスポンサーに対して、高橋真理子が若くて無知で悲惨な目に遭ったことを考慮して、訴訟を免除し、巨額の違約金を追及しないよう懇願した。彼女たちは必ず事務所の全力を尽くして、スポンサーたちの損失を補償すると約束した。
藤原美月は首を振りながら嘆いた。「高橋真理子は博之ちゃんを追い詰めてしまったわ。彼女を前面に出さざるを得なくなったのよ。そうしないと他のタレントたちに説明がつかないから」
二見奈津子は眉をひそめた。「警察には通報しないの?」
「通報はしたわ。通報は通報、賠償は賠償よ。それぞれ別の問題だわ。そうそう、あなたの名義上の夫が随分と力を貸してくれたわ。彼の法律チームの仕事ぶりには感心したわ。スッキリしたわ。ネット上での誹謗中傷の件で、私たちは多くの賠償金を獲得できたの。入金があるたびに経理に寄付をさせて、ピンポイントで寄付を行い、それを事務所の公式アカウントで公表しているわ」と藤原美月は得意げに言った。
二見奈津子は微笑んで「晴子さんの仕事は、本当に信頼できますね」と言った。
藤原美月は彼女を見て「これらの賠償金の大部分がどこから来ているか知ってる?」と尋ねた。
二見奈津子は知らなかった。
藤原美月は笑いながら、新しいネイルを見つめて「二見家よ」と言った。
二見奈津子は黙り込んだ。
藤原美月は「調べてみたの。これは伊藤さんがやったことだけど、もちろん二見華子の指示よ。二見和利が不在の時に、私たちの法律チームが接触した時には、もう事態は収拾がつかないところまで発展していたわ。でも不思議なことに、二見和利はほとんど抵抗せずに賠償に応じたの。謝罪声明も完璧に出したわ」と説明した。
二見奈津子も驚いて「それって彼の性格に合わないですよね?」