148 拒否

二見奈津子は笑った。

佐藤明は撮影スタッフが付いているのを盾に、二見奈津子が怒り出さないだろうと踏んで、遠慮なく言った。「奈津子の実力は見ただろう?彼女の映画は佐々木理恵をスターにした。だから次は華子を売り出せるはずよ。自分の姉を売り出さないなんて、笑い者になるわよ!そうでしょう?奈津子?」

奈津子が黙っているのを見て、さらに大胆になった。「谷口安子も私に言ってたわ。あなたの作品は華子にぴったりだって。主役も脇役も関係ないわ。みんな身内なんだから。あなたの姉さんはそんなに気難しい人じゃないし。谷口安子が言うには、今は演技を磨く段階だから、あなたが指導すれば、華子は賢いから、きっと大丈夫よ。奈津子、身内なんだから遠慮することないでしょう?異議はないわよね?」

二見奈津子は冷ややかに答えた。「あります」