158 美味しい

二見奈津子は黙って微笑み、佐々木和利は彼女の頭を軽く叩いてから、優しく撫でた。

二人は何も言わなかったが、三人の会話から、これが仲の良い夫婦だということが周りの人にも伝わってきた。二人の間の落ち着いた雰囲気と穏やかな表情は、見ていて心が和むものだった。

西野が先に声を上げた。「二見監督、驚きました。まさかこのお料理全部が監督の手作りだとは思いもしませんでした。本当に素晴らしい!素晴らしい!」

西野は何度も親指を立てた。

中村裕太も言った。「正直に言うと、私たち二人は帰ってきたら皆に焼きそばを作るつもりでした。でも、帰ってみたらこんなにたくさんのお料理が。肉料理に野菜料理、冷たい料理に温かい料理、炒め物に煮物。これは私と西野でも、このレベルには及びません。二見監督、本当に感服します。ありがとうございます!」

二見奈津子は笑いながら言った。「二見と呼んでください。皆さん、どうぞ箸を取って味見してみてください。お口に合うかどうか。」

全員が揃って箸を取った。

すぐに「わぁ」という歓声が上がった。

「これ、すごく美味しい!」

「すごい、このスペアリブを食べてみて。味が染みてる。西野、あなたより美味しいわよ!」

「この牛肉も食べてみて、柔らかくてとろけるわ!」

二見奈津子は黙って佐々木和利にスープを一杯よそった。胃のために、食事の前にスープを飲む習慣をつけさせていたのだ。

佐々木理恵はそんなことは気にせず、手羽先を取って大きく頬張り、食べながら言った。「私、嘘ついてないでしょう?お義姉さんすごいでしょう?お義姉さんの作る餃子はとても綺麗で、いろんな形があるんですよ!」

彼女は子供のように嬉しそうだった。

二見奈津子は佐々木和利越しに彼女を軽く叩き、笑って言った。「ちゃんと食べなさい!」

「はいはい」佐々木理恵は口の中で返事をしながら、手羽先との戦いを続けた。

石井菜菜子は褒めた。「なるほど、佐々木理恵がお義姉さんの話をする度に誇らしげなわけですね。私もこんなお義姉さんがいたら、彼女以上に自慢したいわ。」

二見奈津子は自分の前の青梗菜の炒め物を取り箸で取って彼女に渡した。「石井菜菜子さん、あなたの『にんにく抜きの青梗菜』という曲を覚えています。これは特別にあなたのために作った料理です。」