秋田緑はついに彼女の二人の取り巻きを連れて高一の八組の教室から出て行った。
彼女が去った後、クラスメイト全員がほっと胸をなでおろした。
彼女がいる時は、みんな息をするのも怖かった。うっかり彼女の機嫌を損ねてしまうのではないかと恐れていたのだ。
その時、佐藤和音は机の上から黒い立方体の物を取り上げた。
その中からメモリーカードを取り出した。
そして持参したノートパソコンに挿入した。
隣にいた大井心は目を丸くした。
すると佐藤和音のパソコンの画面に、先ほどの秋田緑たち三人の映像が映し出された。
「あ、あなた...録画したの?」大井心は信じられない表情を浮かべた。
「学校の監視カメラはあまり役に立たないから」
佐藤和音は秋田緑が理事の娘だということを知っていたので、学校の監視カメラが彼女に対して何の脅威にもならないことは容易に想像できた。