第26章 謎の投資家

千葉佳津は今日、佐藤和音の家庭教師に行く必要がなかったので、現在通っている大阪大学に戻った。

彼は現在大学2年生で、授業の負担もそれほど重くなく、彼の成績なら授業に出なくても試験に合格できるため、成績のことを心配する必要は全くなかった。

千葉佳津が寮に戻ると、彼のルームメイトで親友の白井裕也が興奮して彼に飛びついてきた。

千葉佳津は少し後ずさりして、「落ち着いて話せよ、俺はゲイじゃない」と言った。

「川和さん、いいニュースだ!超すごいニュースだよ!僕たちの起業資金が見つかったんだ!」

白井裕也は興奮して、たった今得た素晴らしいニュースを千葉佳津に報告した。

「投資してくれる人が見つかったのか?」千葉佳津のいつもの冷静な表情にも、珍しく興奮の色が浮かんだ。

千葉佳津はルームメイトたちと一緒にSNSアプリを開発しており、現在は初期段階が完成し、エンジェルラウンドの投資家を探していた。

SNSアプリの初期段階は非常にお金がかかり、投資がなければ、サーバーのレンタル費用すら払えなくなるところだった。

千葉佳津と彼のルームメイトには技術はあるが、お金がなかった。

ルームメイトたちは普通の家庭の子供たちで、千葉佳津に至っては普通の家庭にも及ばなかった。

「そう!200万円だ!僕たちの問題がすぐに解決するんだ!」白井裕也は興奮して飛び跳ねて、まるで3歳の子供のようだった。

「どこの投資家なんだ?」千葉佳津は急いで尋ねた。

大阪大学は大阪市では一、二を争う大学だが、全国的に見ると上位にランクインしない。

普通の大学の学生が起業して投資を得ることは非常に困難なことだった。

「本名は分からない、契約を結ぶときに分かるんじゃないかな。」

「本名が分からない?」これは千葉佳津に詐欺の疑いを抱かせた。お金を見るまでは、どんな疑いも可能性があった。

「相手はずっとイニシャルのF.S.を使っているんだ。」

F.S.?

藤田という姓なのか?

「相手はどれくらいの株式を要求してるんだ?」千葉佳津は更に尋ねた。

エンジェル投資家は起業者から5%~30%の株式を取得する。具体的な割合は双方の交渉結果による。

現在、千葉佳津たちは受け身の立場にあり、相手は200万円を出すと言っているので、大量の株式を要求してくる可能性は否定できなかった。