第27章 兄と二人きり(1)

佐藤和音はメッセージを一目見てから画面を消し、すぐには返信しなかった。

佐藤和音は千葉佳津との接点を持ちたくなかったので、投資の件についても彼に自分の正体を明かすつもりはなかった。

原作の展開通りなら、千葉佳津のプロジェクトは間違いなく成功するはずで、佐藤和音にとってこのような儲け話を見逃す理由はなかった。

主人公のことは好きではないが、彼のお金を稼がせて、彼に働かせることには支障がなかった。

以前の佐藤和音は主人公の心と体が欲しかったが、今の佐藤和音は彼が稼ぐお金だけが欲しかった。

佐藤和音は元々の投資家が現れる前に、わざわざ千葉佳津に投資し、20%の株式しか求めなかった。

なぜなら、後から現れる投資家は千葉佳津たちが急いで資金を必要としている状況につけ込んで、30%の株式を要求するからだ。