第40章 従兄の佐藤隼人

自分の賢い、将来有望な娘のことを考えると、女の心は揺らいでいた。

山田燕は一瞬躊躇してから、もう少し優しい口調で説得した。「あまり考え込まないで。あなたがしていることは全て娘のためでしょう。あなたの娘は容姿も才能もあるのだから、当然出世するべきです。もしお金の問題で、良い高校に行けなかったり、良い大学に行けなかったりしたら、それは彼女の一生の後悔になるでしょう。今の彼女を見てください。勉強も優秀で、たくさんの優秀な家庭の友達もできて、前途は明るいじゃないですか。」

山田燕の言葉は中年の女性の心を動かすことに成功した。娘は彼女の弱みだった。

「分かりました。娘のためなら、何でもします。旦那様とおばあさまへの借りは、来世で牛馬となって返させていただきます！」

山田燕は満足げに、「じゃあ、そういうことで。私は今本邸にいるので、後でこの娘に会って、どんな魂胆があるのか見てみましょう！」

山田燕は電話を切った。

彼女がこの電話をかけたのは、原おばさんの口から佐藤和音の態度が突然変わった理由を聞き出すためだった。

結局この女は何の役にも立たず、自分で何とかするしかなかった。

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食卓で、佐藤和音は初めて従兄弟の一人である佐藤隼人に会った。

佐藤隼人は佐藤直樹と同い年で、どちらも十七歳だった。

佐藤和音を除けば、この二人が佐藤家の孫世代で最も若く、他の兄たちとは数歳の年の差があった。

佐藤家の他の孫たちは皆二十歳以上の年齢だった。

もう子供は要らないと思っていたが、その年の正月に佐藤おばあさまがどうしても孫娘が欲しいと言い出し、そこで長男の佐藤賢治と次男の佐藤博がもう一度頑張ることにした。

結果として同じ年に二人の孫息子が生まれた。

この時点で皆諦めていて、佐藤おばあさまも運命を受け入れていた。

しかし一年後、思いがけず岡本治美が妊娠した。

そして生まれたのが、皆が待ち望んでいた女の子で、これには佐藤おばあさまが大喜びした。

まさに、意図的に植えた花は咲かず、何気なく挿した柳が育つとはこのことだ。

佐藤隼人は佐藤和音を見て、笑顔を見せた。

山田燕は心の中で佐藤和音を恨んでいたが、佐藤隼人は心から一人しかいない従妹を好いていた。

彼女は彼らにとって唯一の妹で、しかも特別可愛かった。